シャスタ滞在4日目。
連泊していると、体も少しずつ現地時間に慣れてきます。
前日は誕生日だったので家族にLINEを送りましたが、日本とは昼夜が逆。
タイミングが合わず、短いやりとりだけになりました。
わが家では、父親がいなくても子どもたちはたくましく毎日を過ごしていたそうです。快く送り出してくれた妻に感謝しつつ、この日もシャスタを楽しみに出かけました。
この日は、シャスタの雪どけ水が流れ込むアッパー・サクラメント川沿いを、滝から滝へ、そして湖へとたどる一日です。
ヘッジクリークの滝 ― 滝の裏側へ
ハイウェイを降りてすぐ、短い小道の先にある滝です。滝の裏には溶岩でできた小さな洞窟があり、水のカーテンの内側に入ることができます。
ハイウェイの建設で埋められそうになったものの、住民の反対でルートが変わったことから、「ミリオンダラー・フォール」とも呼ばれているそうです。





戻り道で目にした看板は、モスブレー滝まで安全な道を延ばすための寄付の呼びかけでした。図面をよく見ると、滝の対岸に「SAINT GERMAIN FOUNDATION(サンジェルマン財団)」の文字。vol.3の泉で出会ったあの名前に、ここでまた出会いました。
映画『スタンド・バイ・ミー』のような線路を歩く。

ヘッジクリークの滝から車で数分。もうひとつの滝へは、線路沿いを歩いて向かいます。
線路を歩くのは初めての体験です。敷石の上は歩きにくいので枕木をまたいで進むと、だんだんリズムが速くなり、気づけば旅友のみんなははるか後ろに。
線路を歩いていると思い出すのが、1986年公開の映画『スタンド・バイ・ミー』。
12歳の少年たちが線路をたどって旅をする青春映画です。
シャスタ周辺で撮影ロケがあったそうで、鉄橋を渡る有名なシーンは、シャスタから車で1時間ほどのレイク・ブリットンの鉄橋で撮影されたそうです。
映画のワンシーンを思い出しながら進むと、目の前に鉄橋が現れました。

※遊歩道ではなので、列車との事故も起きているそうです。訪れる際は現地の最新情報を確認してください。
モスブレーの滝 ― 苔の崖から湧く水
「モスブレー」は、苔(moss)と、スコットランド語で急な斜面を意味する「brae」を合わせた名前です。その名のとおり、苔むした崖のあちこちから湧き水が糸のように落ち、そのまま川へ注いでいます。

川の水はひんやりと冷たく、滝のしぶきがマイナスイオンとなって全身に降り注ぎます。
響きつづける滝の音に耳をあずけていると、心までほどけていくよう。癒しに包まれた、安らぎのひとときでした。
この川が覚えている人々
この川の上流には、シャスタ系の小さな部族、オクワヌチュ族が暮らしていました。
モスブレー滝の近くは鮭の季節の野営地で、「川を渡る場所」と呼ばれていたそうです。
1850年代には、ゴールドラッシュの金鉱掘りに追われたウィントゥの人々も、山を越えてこの辺りに移り住みました。
ネイティブアメリカンにとって、シャスタ周辺の川は、春と秋に鮭を獲り、薬草などの植物を集める大切な場所。シャスタ山の内部には「ミス・ミサ(Mis Misa)」と呼ばれる精霊(宇宙の力を宿す生命体)が眠っていて、この山と自然を敬い、正しく記憶し続けることで宇宙のバランスが保たれている、という言い伝えもあるそうです。
滝の名前はスコットランド語。郡の名前「シスキュー」は交易語が由来とされています。そのさらに下には、記録には残りにくかった、先住の人々の呼び名と暮らしが眠っています。
シスキュー湖 ― 新しい湖、古い川
お昼はシスキュー湖でランチタイム。
この湖は、1960年代後半にサクラメント川をせき止めたダムによって生まれた人造湖です。今はキャンプ場として、週末に多くの人が訪れるそうです。
湖は新しくても、ここを流れていた川は、ずっと昔から人と鮭の道でした。




かっちゃんの名言「HENTAI」
今年、世界を旅しているかっちゃん。シャスタで生まれた名言がこれ。
『HENTAI』でいよう。
自分の中にあったものが外の世界に現れることで、自分自身のあり方まで変わっていく。
深い話です。
場の空気を読む日本人。でも、他人を思いやるために、自分を消す必要はない。
自分を表現することと、他者を尊重することは両立する。
「言うは易く、行うは難し。」
相手を思いやりながら、自分の思いも大切にする。
調和を守りながら、違う意見も伝える。
周囲に合わせることも、自分の意志で選ぶ。
そうなって初めて、他人に合わせる生き方から、自分の意志で他者と関わる生き方へと変わっていくのかもしれません。

この日たどった水が“HENTAI”になる。
シャスタの雪がとけて湧き水になり、滝になり、川になり、湖になる。
姿はコロコロ変わっても、水は水のまま。
川の鮭だって、川から海へ出るときに体を変えて、また生まれた川へかえってくる。
空気を読んで自分を消すのではなく、自分の中にあるものを、少しずつ外へ流していく。
レベル46のかえる隊長、HENTAI道はまだまだ修行中。
次回は、マウントシャスタの旅 vol.6|クリスタルの街 ―シャスタシティ
(つづく)



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