シャスタの旅で出会ったけれど、これまでの記事に入りきらなかったお話をまとめましたので、どうぞお楽しみください。
まずは、シャスタの近くにあるメディシン湖と、黒曜石の岩場から。
現地で「ここは先住民の聖地なんだよ」と聞いて以来、この土地に伝わる物語がずっと気になっていました。調べてみると、驚くほど美しくつながる神話がありました。
メディシン湖
メディシン湖は、シャスタ山の東、標高およそ2,000mにある湖です。
太古の火山のカルデラに水がたまってできました。
この一帯は、ピット・リバー族やモドック族など、先住民の人々にとって大切な聖地です。
モドック族はこの湖を「癒しの場所」と考えてきました。
ピット・リバー族にとっては、自分たちの創世の物語につながる土地です。
2025年1月には、湖を含む広い範囲が「サッティトラ国定記念物(Sattitla National Monument)」に指定されました。
ピット・リバー族の創生神話
ピット・リバー族は11の部族集団から成り、伝承は集団や語り手によってさまざまです。ここで紹介するのは、1900年代のはじめに記録されたお話のひとつです。
はじめ、世界は一面の水でした。
雲のかたまりからコヨーテが、霧のかたまりから銀ギツネが生まれました。ふたりはカヌーをつくり、長いあいだ水の上を漂います。
ある日、コヨーテが眠っているあいだに、銀ギツネは自分の毛をすきました。
抜けた毛を丸めて薄くのばし、水の上に広げます。するとそれが大地になりました。銀ギツネはその上に木や草、岩を置いていきます。
目を覚ましたコヨーテは、いつのまにかできていた陸に上がり、木の実を食べはじめました。
やがてふたりは汗小屋(スウェットロッジ)を建て、地面にサービスベリーの枝を刺していきます。その枝が、人や鹿、魚、鳥になりました。
黒曜石は神話の宝物
この神話でいちばん心に残ったのは、黒曜石のくだりです。
最初の人々は、狩りに使う鋭い道具を持っていませんでした。そこでリスたちが、メディシン湖に住む「黒曜石じいさん」から黒曜石を盗み出し、みんなに配ります。その石のおかげで、人々は狩りができるようになりました。
神話の中で、黒曜石は人々に生きる力を与えた宝物です。
そしてこの土地の名前「サッティトラ」は「黒曜石の場所」を意味するといいます。
岩場で見た、光るあの石は、神話の宝物そのものだったのです。

神話を考察
「はじめに水があった」
古事記などの日本の国生み神話も、混沌とした海から島が生まれるお話です。
太平洋をはさんだ遠い土地で、同じように「まず水があった」と語られているのは、とても興味深い共通点です。
カルデラに水をたたえたメディシン湖は、まさにその「最初の水」を思わせる風景でした。
火山を冷やした偉大な水。それが黒曜石にもつながる。
知恵とイタズラの二人組
黙って世界を形づくる知恵者の銀ギツネと、眠っているうちに世界ができていて、起きたら実を食べはじめるコヨーテ。創造には、静かな知恵と、本能のままに生きる力の両方が必要なのかもしれません。
4つのエレメントの重なり
旅の途中で見たタペストリーに描かれていた「地・水・火・風」は、この神話にもすべて登場します。

水:世界のはじまりの海
風:コヨーテを生んだ雲と、銀ギツネを生んだ霧
地:髪から生まれ、石で押さえられた大地
火:汗小屋の熱と、火山の火から生まれた黒曜石
旅で体感した四つのエレメントが、何千年も前からこの土地の物語の中に息づいていました。そう思うと、この旅がまた違って見えてきます。
聖なる泉、癒しの水としての伝承
マウント・シャスタ周辺の湧き水は、先住民(とくにウィネメム・ウィントゥ族)にとって神聖なものとされてきました。山から湧き出る水は「生命の源」。
モスブレー・フォールズ(Mossbrae Falls)やシャスタ・スプリングスなどは、健康と長寿をもたらす「薬の水」と信じられてきました。いまも儀式や癒しの場として大切にされているそうです。


バグに出会った瞬間!?
シャスタへ向かう途中、サンフランシスコ国際空港沿いのハイウェイを走っていると、着陸しようとしている旅客機が空中で止まって見えました。ほんの数秒だったので撮影はできませんでしたが、調べてみるとアメリカでは有名な現象のようです。
同じ現象を撮った動画として、Will Manidis氏の投稿が見つかりました。僕たちが車の中から見たのも、まさにこんな感じでした。
watched a plane pause in the air today and y’all still think physics is real https://t.co/ZHS4yrmvAN
— Will Manidis (@WillManidis) October 13, 2023
サンマテオ・ヘイワード橋の上空で旅客機が止まっているように見えるこの映像は、SNSで「マトリックスのバグ」「UFO at SFO」などと話題になりました。
実際に止まっているわけではなく、パララックス効果(視差効果)による目の錯覚です。着陸態勢の機体が、見ている人の視線とほぼ同じ方向に進んでいるため、止まって見えるのだそうです。
シャスタシティでお土産を買うなら、ここ!
シャスタのメインストリートには、ヒーリングやパワーストーン、スピリチュアル関連のショップが立ち並んでいます。
中でも気に入ったのが「Soul Connections」。書籍や雑貨、ストーンなど、東洋・西洋を問わずたくさんの商品が並んでいて、「また行きたい!」と思わせてくれるお店でした。

リスタートの兆し
旅から1ケ月が経ちました。
旅友たちとやり取りを重ねるうちに、僕の中に小さな石が手渡されたような気がしています。
そういえば今朝、散歩の途中で、近所の氏神さまを祀るお宮にご挨拶に行きました。
沖縄の祈りの場には、イビ(イベ)と呼ばれる場所があります。
その前には霊石や香炉が置かれ、鍾乳石や石灰岩が静かに鎮座しています。
昔から人々は、その石に祈りを捧げてきました。
石に祈ることは、自分の「意志」を伝えること。
手を合わせながら、ふと思いました。
イシは、固いのかな。
「黒曜石は生きる力」という神話。
シャスタの黒曜石も、沖縄のイビの石も、何千年もそこにあり続けてきました。
遠く離れた土地で、人はどちらも石に大切なものを託してきたのです。
僕の中に手渡された小さな石(意志)が何なのかは、また改めて。
ただ、今朝のお宮で、その石(意志)が少しだけ固くなった気がしました。
ありがとう、シャスタ。
ということで、現場から以上です( ´艸`)
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