台湾で【日本精神】を知る vol.6

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2024年8月、台湾人の友人の誘いで台湾を旅してきました。
旅のテーマは【日本精神を知る】ということ。友人から一通のメッセージを頂きました。

世界一の親日国台湾。
台湾は東日本大震災の際、世界で一番早く救援隊を派遣してくれ、また震災後に台湾だけで250億円(全世界から600億円強)という、世界一の義援金を出した国です。
なぜ台湾は日本にこんなに心を寄せてくれるのか?
また、台湾で使われていた「日本精神」とは、どんな意味のものか、このツアーでかつて台湾のために命をかけて尽くした多くの日本の先人たちの史跡を通じ、その息吹を感じ、次の日本を担っていく私たちの使命を学びたいと思います。

今回の旅は、特別な台湾ツアーになります。
井の中の蛙大海を知らずと言いますが、歴史はさまざまな視点からアプローチすると実像が見え、知らなかった事が分かります。

台湾先住民族に関するテーマパーク九族文化村】に行ってきました。
「日月潭」へのロープウェイに乗りへ入村します。

台湾・先住民族の歴史を知る

台湾社会は約2,300万人のうち先住民族は約2.4%(2020年現在)、それ以外の大多数は漢民族という構成になっています。【九族文化村】が開園した1986年当初、政府が認定していた民族は9族でした。その後公式に認められた先住民族は16族(2020年9月)に増えています。

先住民族が9族から16族に増えた理由は1980年以降、先住民族の権利回復運動があり植民地統治の過程で定められた民族名だけではなく、先住民族たちが自認するアイデンティティにあった民族名を名乗る権利を求めたことで正されたようです。

【台湾・先住民16部族】
アミ族、タイヤル族、ブヌン族、パイワン族、ルカイ族、サイシャット族、プユマ族、タオ族、ツオウ族、サオ族、クバラン族、タロコ族、サキザヤ族、セディック族、サアロア族、カナカブナ族

博物館内ではタッチパネルで各民族が紹介されています。

九族文化村で見ることのできる先住民族の家屋や道具、楽器などがありました。マンガ【ゴールデンカムイ】のアイヌ文化に似たものを感じました。

また先住民族アトラクションでは、日別で各部族に伝わる伝統行事をショーとして、豊年祭などの踊りを見る事ができます。

タトゥ文化は、ハワイや琉球に近いものを感じました。
各先住民族は言葉も文化も違いがあります。山の神や精霊たちに向かって綺麗な声で祈りの歌を歌うと教えてもらいました。

石の謎について

萬山神石(The Great Carved Rock of Oponohu)

九族文化村の入口付近にあった「萬山神石」。巨岩に刻まれた様々な紋様や絵、そして謎のクルクルが興味を引きました。世界には共通する巨石信仰がありますよね。

線刻石版(沖縄県北谷町で出土)
線刻石版(沖縄県嘉手納町で出土)

上の写真は沖縄の「ロゼッタ・ストーン」と呼ばれている謎の線刻石版。1933年に発見されて以来、未だに解読が進まないそうで平たい石に鳥や丸、船みたいな形やピラミッド型の形、謎のクルクルなどがあります。九族文化村の萬山神石のクルクルと共通性はあるのかロマンを感じさせてくれます。

先住民族にスポットを当てた日本人

日本統治時代、台湾の民俗学の研究が進み各部族にスポットが当たります。人類学者の伊能嘉矩(いのうかのり、1867-1925)先生は、1895年から約10年間、台湾全土で人類学調査を行いました。研究を通じて民俗学の柳田國男先生と交流を持つようになったそうです。そして書籍にまとめてましたが、台湾滞在中に感染したマラリアが再発するという思いがけない死を迎えたそうです。
その後、日本統治が終わり、政府が変わり様々なことがそのとき失いかけた伝統・文化・風習・祭り・思想など、日本語の資料を基に復活のきっかけにしたそうです。

反日教育と先住民族

友人が小学生の時にみた教科書には、先住民のアリ族にあった反日教育で使われた内容です。先住民の体に銃剣が刺さったイラストが掲載されていたそうです。おじいちゃんに本当にこのようなことがあったのか尋ねると「本当かどうか、自分で確かめなさい」と話されたそうです。数年後、ある村を訪れたら先住民酋長を退いた90代の話を聴く機会があったそうで実際に確かめたそうです。

木こりとして安い賃金で働き、鞭を持って働かさヒノキを大量に日本へ持っていたか真偽を確かめました。すると【貨幣の価値を教えてくれた】、【むやみやたらに木を切るだけでなく、土石流の危険性や植林の技術を教えてくれた上でヒノキを切った】それをしたら森が豊かになり、不当に働かせた訳では無かったそうです。そして「なぜ日本人はどうしてこないのか!」と日本語で話しました。実は、伊能さんが1枚の写真を撮ってあげたそうで、「日本人が写真を撮った。あのとき写真を撮らなかったら先祖の顔が分からなかった」と嬉しそうに話し、様々なことを教えてくれた日本人について兄弟のように感じたそうです。

その先住民には、神話が残っており「私たちは人が増えた。北の方へ海を渡った血をわけた兄弟がいつか帰ってくる」、「なぜそれが分かるのか」と尋ねると、それは【勘でわかる】と話されたそうです。その人たちのことをマァーヤと呼んでおり、それはマァーヤは日本人ではないかと伝えてました。

日本統治時代を経験したおじいちゃんたちは、自分たちの言語文化の中に日本語を残したことで、先住民族たちはみな兄弟ではないかと理解したそうです。先住民族たちの中では古くから争いがあったそうですが、日本語を共通で話せるようになったことで、部族同士の理解が進み、違う先住民族同士の結婚も進みました。友人も父や母も違う部族出身同士ですが、民族愛や日本に対する熱い思いと共に語ってくれました。

歴史を学ぶ意味について

歴史学者、アーノルド・J・トインビーの言葉で「自国の神話や民話、歴史を学ばなくなった民族は100年以内に必ず滅びる。」ことも友人は語っていました。

今、教育現場では沢山の問題が山積しています。日本は戦後豊かさを求め、奇跡的な経済成長を成し遂げていきましたが、大切な【心の教育】はおざなりにされてきた感じがあります。

台湾を訪ねたことで、台湾人が日本に心を寄せる理由が分かりました。日本統治時代に教えた「和の心」。教科書では軍国教育があったことにスポットを充てられていますが、現地に行って話しを聞いてみると、違う角度で物事を見ることが出来ます。

実際、沖縄に暮らしていると分かりますが、台湾観光客が多く来県しリピートしてくれ、台湾出身の方も多くお互いに協力し生活しています。民族問題にしちゃうと大変なことがありますが、そのようなレッテル貼りはせず、個人個人の付き合いで、素晴らしい世界は創られていくはずです。

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